どんっ(衝撃)‘嫉妬‘という漢字には、「女」が二つもくっついています。
その通りであって、女は嫉妬深いのです。特に、恋愛モードに入った時のそれは狂気に近付きます。
男が、「別にどうでもいいじゃないか」と感じながら、適当に聞き流す女の訴えは、確かに大半はどうでもいいことなのですが、それは漏れてきた臭いを嗅いでいるだけのこと・・。
時折、その嫉妬をブチ撒けてしまう女がいて、男は言う。
「女の嫉妬は怖い」と・・。当の女達も、自覚のあるなしは別として、それを否定しない。「そうよ、女の嫉妬は怖いのよ。」
では、男は嫉妬しないのでしょうか?しても、恐れるほどのものではないのでしょうか?
とんでもない・・・・ベクトルが違うだけで、男も大いに嫉妬するのです。

どんっ(衝撃)ルイ14世が、王家の狩場だったパリ郊外のベルサイユに王宮建設を思い立ったのも、実は嫉妬が原動力といえるのです。嫉妬の矛先は、財務卿ニコラ・フーケです。
フォンテーヌブロー近郊に、当代随一の技術と芸術の粋を集めてフーケが建てたヴォー・ル・ヴィコント城は、あまりにも見事過ぎたのです。当時の王室は、ブロー、サン・ジェルマン・アン・レイ、ルーヴルなどに城を持っていましたが、ヴォー・ル・ヴィコント城を凌ぐものは皆無だったのです。
その事実は、ルイ14世には耐え難く、ヴォー・ル・ヴィコント城の規模も美しさも遥かに上回る城を建てられずにはいられなくなったのです。
しかし、理由はそれだけではありません。ルイ14世には、自分がフーケよりも上であることを思い知らせたい理由が他にもあったのです。

ヴォー・ル・ヴィコント城の評価の高さは、フーケの芸術性への称賛でもあったのです。一流の文化人を自負するルイ14世には、それが許せなかったのです。自ら太陽王を名乗るルイ14世は、いつでも誰よりも称賛されなければならないのです。
しかも、フーケは国王の愛妾であるラ・ヴァリエール夫人に近付いているという噂もありました。
男としての沽券にまで関わりかねないフーケの存在を、太陽王が許すはずもありません。

かくてフーケは、冤罪とも思われる公金横領の罪であえなく終身刑となります。ルイ14世の逆鱗に触れた結果ではあるのですが、ここにはもうひとつの男の嫉妬が潜んでいました。
フーケの存在を面白く思わない人物が、もう1人いたのです。フーケの更迭後に財務卿となるジャン・バティスト・コルベールです。フーケの公金横領は、彼を追い落とし、後釜を狙ったコルベールの策謀と言われています。
思惑通りにフーケを排したコルベールは、財務卿、国務長官、そして王宮建築長官として、ベルサイユ宮殿に大きく関わっていくことになるのです。

フーケがヴォー・ル・ヴィコント城にルイ14世を招いたその3週間後に彼は逮捕されています。
年内には、ルイ14世から、ル・ヴォー、ル・ノートル、ル・ブランらに対してベルサイユ宮殿造営の命が下っています。彼らは皆、ヴォー・ル・ヴィコント城に携わった建築家・造園家です。正に、電光石火。ルイ14世は、本気で悔しかったと見えます。

目半世紀以上をかけて造営された華麗なる宮殿と、その周囲はやがて政治の中心となり、数万人が住み暮らす巨大な権力の場となっていきます。
その壮大な歴史絵巻の全てを嫉妬心の成せる技とはいいませんが、少なくとも引き金になったことは間違えないのではないでしょうか。
女の嫉妬も怖いものですが、男の嫉妬もあなどるべからずです。




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